住職ノートnote
ハスの華
仏さまの象徴の花といえば、なんといっても蓮の華でしょう。仏さまのお姿は、必ず蓮の台の上に描かれますし、『阿弥陀経』には お浄土の池に大輪の蓮の花が咲くとあります。
そこで、その蓮について調べてみると、蓮の華は まさに仏さま、とりわけ阿弥陀如来さまのお徳(特長)を見事にたとえることができるようです。
まず1番目。
■ ハスは 泥の中に生えながら、泥に染まることなく、清浄な香りの美しい姿の華を咲かします。(画像あり)
これはまさに阿弥陀さまが、清浄な浄土から この迷いと苦しみの煩悩(泥)の世界にあらわれ来て下さり、そして 煩悩に染まることなく、この私を真実の世界に導き、大輪の悟りの花をさせて下さることをあらわしています。
第2に、
■ ハスの種は、湿気の多いところにあっても、決して腐ることないといいます。 つまり、光や水という 芽を出す条件が整うまで、どれほど歳月が流れても、決して腐ることがありません。
ちょうど 縄文時代の遺跡の中で見つかった古代ハスの種を大賀一郎博士が、開花に成功した「大賀ハス」とはまさに 腐らない例です。
これは、この私が 本願の教えを聞く縁に遇(あ)い、念仏もうし、仏となるまでは、どんなことがあっても、決して見捨てることがなく はたらき 続けていて下さる如来さまのお心と重なります。(このことをお経には、「摂取不捨」とあります)
3つ目は
■ ハスの花にはアダ花(咲きそこない)はありません。100%の蓮がきれいに見事に咲くといいます。
つまり、生きとし生くるものすべて、漏らすことなくすくい取るという如来さまの はららきと同じ 100パーセントです。
もちろん、「すべてのもの」ですから、この私が すくいから漏れたなら、100パーセントには なりません。 (お経には「若不生者 不取正覚」とあります)。
そして4番目。
■ ふつうの花は、花が散って実を結ぶのですが、ハスは花が開くと同時にすでに その中に実をつけています。つまり、花が咲くとき、すでに実が成っているのです。
阿弥陀さまのすくいも、散ってから(死んでから)ではありません。花の咲くまま、つまり今、生かされるまま、すでに 仏になることが 調えられているのでした。
(これは 浄土真宗の学問で「現生正定聚」といいます)
☆オマケ
ハスの華を よく見て下さい。華の中にある実は、ちょうど「ハチの巣」のようです。そこで
「ハチノス」
↓
「ハチス」(蓮と書いてハチスと読むことがあります)
↓
「ハ ス」
となったそうです。
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法華経をより所となさる宗派では、このハスの華の特色を 仏のはたらきとなく、自分の中に宿る仏性のたとえとして 捉えていかれるようです。