放言御免hougen-gomen
入院患者
以前、ロバ耳掲示板に
「お寺の人間はえらいと思っている人が、案外お寺の人の中に多いと思えてならない…」という投稿をいただいた。
悲しいかな、私もそれを否定できない。たぶん、封建制の中で権力に護られ、それに甘えていた時代の歴史のなごりなのだろう。残念ながら、その特権意識が 残っているような気がする。(きっと、お寺の中の者はそれを意識してはいないと思うが)わかったようなことを言うこの私の中にも、あるのかもしれない。
しかし、私の恩師は
「ご門徒は 悪人。住職(お寺のもの)は 極悪人。」
あるいは
「ご門徒は 通院患者。住職は 入院患者。」
という言い方をされていた。
つまり、ご門徒は症状(悪業)が軽いので、通院(寺院へ通う)で間に合うが、住職(寺内の者)は症状(悪業)が重いので、入院(寺院の中)させてもらっている。という意味である。
僧侶は、法事の後のお膳の席でも 床柱を背に一番上席に据えていただく。だが、これを「自分が一番偉い」と勘違いしてはならない。ご門徒さんが 敬い・丁重に扱って下さるのは、この私ではなく、私が身につけている袈裟・衣(仏法)に対してである。
お寺の人間がエライのではない。反対に、私がご門徒の立場だったら、とても仏法に耳を傾けるどころか、自分の欲望ばかり追いかけているだろう。
お寺には きっと足を向けることもないだろう。そんな「重病人」だからこそ、こうしてわざわざ寺内に住まわせて(入院)いただいていたのであった。
わたしもしっかり、南無阿弥陀仏の「点滴」をいただこう。通院の皆さんも、ご案内があれば、ちゃんと通って下さい。…放言御免。