王様は異様なまでに金を欲しがり、 自分の触るものを全て金に変えて欲しいと神に願い、それが聞き遂げられた。 しかし彼はすぐに後悔すことになった。 御飯を食べようとすると食べ物が唇に触れた瞬間金に変わってしまうので、 何も食べられないのである。 水を飲もうとしてもやはり水が金に変わってしまった。 あまつさえ彼の娘が父を見つけて駆け寄って来て抱擁すると、 彼は次の瞬間重い金の像を抱いていた。 彼が泣きながらあの願いを取り消してくれと神に祈ると炎に包まれた怒りの顔のアポロンが現れ、 それを取り消したが、彼の耳をロバの耳に変えた。 彼はその耳を帽子で隠していた。 しかし彼の髪を刈った床屋がその耳を見てしまい、 王は床屋にこのことを絶対黙っているように命じた。 しかし床屋はどうにも黙っていられないので、地面に穴を掘り、 その穴の中に向って「王様の耳はロバの耳!」と叫んだ。 これを聞いていた小鳥たちがその声を真似し いつしかその奄ヘ国中に広がった。 |