放言御免hougen-gomen
出家と家出と在家
「うちの坊守は、在家(ざいけ)の出身で…」
「お坊さんたちは、私たち在家の世界とは違うでしょうから…」
などと聞かされる場合がある。
正直、こういう時、私は困る。「在家」という言葉に、である。
在家に対する語は「出家」である。
出家とは、仏道修行のために家庭などを捨てること…をいうようだが、もっと極端な言い方をすれば、「家(妻子を含め)、お金、財産などの私有物をいっさい持たないこと」である。へそを曲げて、家を飛び出す家出(いえで)とは異なる。
とすれば、現在の日本には、出家など一人もいないのではないか。もちろん、かくいう私も(在家)である(宗派でいう僧侶資格は有しているが)。だから、ことさら「在家の人」とか「お寺と在家」という言い方に引っかかるのである。
「お寺とご門徒」…で、いいではないか。放言御免。
[註]私たち浄土真宗では、「門徒」といいます。「檀家」(だんか)とはいいません。あしからず。