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放言御免hougen-gomen

コマ送りの世界


最近は、数ヶ月に一度程度のペースで、東京方面在住のご門徒宅へお参りする機会がある。その度に感じるのが、生活のリズムの速さだ。

ゆったりとした田舎と違い、すべてが速い。大阪がセッカチと言われるが、東京はそれ以上の速さに思える。
ちょうど、ビデオテープでいうなら、大阪が2倍速、東京は3倍速で時が流れているような気がする。

2、3日で、どうやらそのペースに慣れたと思えば、もう帰る日である。3倍速が「当たり前」になっているから、大阪を経て松江あたりに戻ると「スローモーション」の画面に見えてくる。

そして、わが温泉津町へ着くと、「コマ送り」である。ちょっと山間地へ行けば、もうそこは「静止画面」。

だが、つぐづく思う。コマ送り・静止画面でよかった…と。
私には、「倍速」はつらい。倍速を通常(ノーマル)として暮らす都会人には、憐憫の情を伴った敬意を表したい。

「もう、1ヶ月くらい、いるような気がする…」とは、温泉津温泉で、2泊された旅行者が、3日目の朝につぶやかれたセリフである。

「こんなにゆったりと時が流れるところが、人間の住むところだよ。みんな都会から温泉津へ帰っておいで…。」

そう、叫びたい気持ちだが、これも私がそう感じるだけのことかもしれない。余計なお世話か。放言御免。